仙台箪笥とは

仙台箪笥とは

長く愛されるには理由がある。
時代を超える「仙台箪笥」というおくりもの

宮城県の伝統的工芸品に指定されている「仙台箪笥」の歴史は古く、原型は江戸時代末期にまでさかのぼる。主に、武士が刀を入れることを目的として作られた箪笥は“野郎型”と呼ばれ、刀の鞘や裃(かみしも)を納めることができる幅4尺(約120センチ)、高さ3尺3寸(100センチ)の大きさに作られていた。素材は主にケヤキや粟。塗りは木目も美しい「木地呂塗り」に、豪華な鉄の飾り金具が取り入れられているのが特徴だ。
「仙台簞笥」は「指物」「塗り」「金具」、3つの技が一体となって、はじめて生み出されるもの。それぞれのプロフェッショナルが技を極め、ひとつの「仙台箪笥」を丁寧に作り上げていく様は、まさに手しごとのバトンリレー。いずれの作業も、熟練の技が冴える職人が手をかけることで箪笥に魂がこめられる。どっしりしながらも艶やかな佇まい。実物を見るとその存在感に圧倒されてしまう。
そもそも、箪笥は衣類や道具を収納するための引き出しや扉を備えた家具。しかし最近では、住居や生活スタイルの変化もいちじるしく、コンパクトな住まいも多くなってきた。そのため大きなサイズの箪笥の需要が少なくなってきているのが実情。しかし、丈夫で長持ちする嫁入り道具として広く普及してきた「仙台箪笥」は、仙台近郊の旧家で祖父母の代から使い続けられているという姿も珍しくない。
平成23(2011)年に起こった東日本大震災以降、浸水や損壊の被害を受けた箪笥の修理が相次いでいる。職人の手によって再生された箪笥はまた長い年月、使う人の生活に寄り添ってくれる。親から子へ、そして孫へ。ものを受け継ぐだけでなく、職人の手から箪笥が生まれ、使う人の手に渡るまでのストーリーを受け継いでいけるのも仙台箪笥の良さかもしれない。
今、100年以上使い続けられるものというものがこの世の中にどのくらいあるのだろうか?
時代は変わっても、変わらないものがある。職人の息吹と心意気を感じる仙台の宝物。それが「仙台箪笥」なのだ。

【取材協力】

仙台箪笥協同組合

住所:
宮城県仙台市青葉区本町2-7-3
電話:
022-225-8321(ユノメ家具本店)
※仙台箪笥協同組合は仙台箪笥の製造工程に携わる事業者、及び販売を行う事業者の団体です
※仙台箪笥を製作する工房、事業者は他にもあります