使う。だから伝え、作り続ける。
藩士の手仕事だったしの竹細工は、時代とともに地元民の生活の一部に。
家族の手伝いをしながら作り方を教わり、家庭の中で伝えられてきたました。
明治以降、主に農家の冬の内職として定着した「岩出山しの竹細工」。男性が出稼ぎへ出ている間、留守を預かる女性やお年寄りが家の中で作っていたのが竹細工でした。自分たちで使うのはもちろん、作ったものを売ることで家計を助ける役割も担っていたといいます。今でも自宅用や贈り物として必要な時に必要な分だけを作っている、という人も多いのだとか。
家庭の中で伝承されてきた竹細工が途絶えがちになった昭和23(1948)年、技術の保存を主な目的とした竹細工指導所が設立されました。現在は「竹工芸館」として製品の展示・販売を行うとともに、制作風景を間近で見られる作業場を併設。竹細工を手習いしたい人がそこに通い、指導員から技法を教わるスタイルで、後継者の育成が行われています。
材料の“へげ”(ヒゴ)は、小指ほどの細いしの竹を4つに割り、皮をはぎとって作るので自然と丸みを帯び、その“へげ”の丸みが優しい手触りと水切れの良さを生み出します。しの竹細工は、そうした使いやすさに工夫をこらし、使い手自らが作り伝えてきた生活道具の逸品なのです。
3つの編み技法
およそ300年の伝統を持つ岩出山のしの竹細工。
長い歴史のなかで培われ、人々の暮らしと結びついた3つの編み技法が受け継がれています。
ざる編み
六つ目編み
あじろ編み
使い方のポイント
- お米をとぐ時には、ざるの下にボールを置いて使いましょう。
- 使用後は、洗剤は使わずに、タワシなどで中と外を軽く洗って水かお湯ですすぎ、水を切ります。
- 編み目に米粒などがはさまった時には、底を軽く叩くか、竹串などで取り除きましょう。
- 洗った後はできるだけ壁などに掛けて乾燥させ、完全に乾かしてからまた使うことが長持ちの秘訣です。
水切りや米粒を取る際に、ざるの縁を打ち付けたりすると破損の原因に。乾かす時には、できるだけ風通しの良いところに掛けて乾かしてください。使った後に完全に乾かすことが大切です。
ざるも皆さんの顔が見たいので(笑)、しまい込まず常に出しておくことをお勧めします。1年半ほどきちんとご使用いただければ、その後はカビにくくなり、5年から10年と長くお使いいただけます。