評価される仙台のものづくり

2015/11/12 |
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仙台箪笥,玉虫塗

うれしいニュースが2つ。仙台を代表する伝統的工芸品「仙台箪笥」と「玉虫塗」。そのものづくりにスポットがあたり、大きな勲章を得ました。

まずは仙台箪笥の堅牢さ、そして美しさを際立たせる、飾り金具の彫金師・八重樫栄吉さんが厚生労働省から「平成27年度卓越した技能者」として表彰されました。この制度は卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者を表彰するもので、通称「現代の名工」と呼称される、栄えある表彰。
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箪笥一棹(さお)に取り付けられる200~300もの金具をすべて鉄から打って仕上げていく技術、そして金具が錆びないように打ち上げた金具に漆を塗り、高温の炉で幾度も焼き付けを繰り返して強度を上げる塗装法が高く評価されたのだそう。

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箪笥を華やかに飾る錠前金具はもちろん、引手や鍵、縁の小さな金具までも手掛ける八重樫さん。鉄に輪郭を彫ったり、模様をつけたり、断ち切る際に使う鏨(たがね)や金槌までもがご自身の手によるものです。幾度も実演を見せて頂いていますが、その素晴らしい技にはいつも驚かされます。表彰を受け、八重樫さんは「これまで以上にこだわりを持って、いいものを作っていきたいです」と語ってくださいました。

そして「玉虫塗」を製造する東北工芸製作所は「第6回ものづくり日本大賞」の経済産業大臣賞を受賞。こちらは製造・生産現場や伝統文化など「ものづくり」に携わっている各世代の人材のうち、特に優秀と認められる人材を顕彰するもの。
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今回の表彰は震災以降、3年間にわたって国立研究開発法人産業技術総合研究所 東北センターと共同で研究してきた、耐久性の高い玉虫塗の開発においての受賞。従来の玉虫塗にナノテクノロジーを活用したコーティングをほどこすことによって、表面の硬度を上げています。そうすることでこれまでの漆器の概念を覆す、紫外線に強く、傷がつきにくい製品が生まれるのだそう。しかも食洗機使用もOKというから驚き。玉虫塗の艶やかで美しい光沢はそのままに、より一層ふだん使いを楽しむことが可能となります。
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東北工芸製作所の常務取締役である佐浦みどりさんは「現在創業から82年たちましたが、100年、さらにその先も伝え続けていきたいという思いがあります。デザインなどももちろん大事ですが、使うということに重きをおいた技術面で評価いただけたのは本当にうれしいこと。会社が掲げる『見る工芸から使う工芸』という理念のもと、時代をこえても使われるものづくりをしていきたいです」とお話しくださいました。

伝統に甘んじず、向上心を持って仕事に向き合う職人や企業が評価されるのは、本当に素晴らしいこと。工芸品が生まれる裏側にある、ものづくりのストーリーにも目を向けてみてください。

【仙台箪笥】
▼飾り金具を知る、愛でる、深める
【玉虫塗】
▼玉虫塗のルーツ
▼東北工芸製作所がつくる、育てる新たな伝統

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