「手とてとテ」の金沢視察レポート【その1】

2014/8/05 |
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レポート

“加賀百万石”と呼ばれる最大の領地を有した加賀藩の城下町として、
江戸時代から栄えてきた古都・金沢。長い歴史と都市文化に裏打ちさた伝統工芸が、
現在も脈々と受け継がれていることで知られています。

伝統工芸のメッカともいえる金沢では、伝統工芸をどのように見つめ、
それを守り育てるためにどのような取組みを行っているのか。
昨春、「手とてとテ」スタッフは、それを探るため視察に行ってきました。
遅ればせながら、そこで見聞きしてきた事をレポートしたいと思います。

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まず最初に向かったのは、金沢市経済局の『クラフト政策推進課』。
こちらでは技術保存や後継者育成から新製品開発・振興事業などに関わる業務を行っているとのことで、伝統工芸に特化した部署があるのはさすが金沢です。

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お話しをうかがった新木伊知子課長、主査の東崎志伸さんによると、「金沢市では伝統工芸のために他の市と比べて多くの予算をかけている」のだそうで、伝統工芸の職人を育て独立を支援していく体制が整えられています。
その中核となっている“金沢の技と芸の人づくり奨励金”は、伝統工芸の技術研修者など毎年50数人に月額6万〜12万円の奨励金を交付するというもの。
援助をうけながら修業できる、若き職人さんにとっては理想的なこの制度、「金沢市では25年以上つづけられてきた歴史の長い制度」(新木課長)と言うから驚きです。
さらに、伝統工芸のつくり手が自分の工房を開く際に受けられる補助金や、市の助成でリノベーションした町家を工房として格安で貸し出す制度などが、若手の独立を支えています。

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そして、「金沢には職人が多いのでお互いにコミュニケーションを取ったり、アドバイスなどを受けやすい。つくり手にやさしい街と言えるかもしれません」と東崎さん。
行政のバックアップと職人にやさしい環境がそこにあるから、伝統工芸を学びに県外から来た人の約半数がそのまま金沢に定着する、というのも納得でした。(つづく)

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