仙台平とは
芸術の域にまで高められた技
仙台が世界に誇る、最高の装い
仙台平は、仙台市の合資会社仙台平だけが作る高級絹織物。それを作る伝統技術は重要無形文化財に指定されている。
仙台平は、江戸中期、仙台藩が御用織物師を召し抱えたことに始まり、その後更なる改良が加えられ、皇室、将軍家に献上されるほどに上質な袴地となった。
素材には厳選された上質の生糸、自然の草木から取った植物染料のみを用いる。経糸に練糸を、緯糸には撚りのない生糸を濡らして強く打ちこむことで、張りのある、しなやかな織り上がりとなる。それゆえ仙台平の袴は、座れば優雅なふくらみを持ち、立てばさらりと折り目が立って美しく形が整う。
歴代藩主の御用織物として手厚い庇護を受けた仙台平は、明治維新後は民間企業として発展を遂げた。先代の甲田榮佑は、仙台平の伝統技術を極め、重要無形文化財技術保持者として認定された。当代の甲田綏郎もまた、仙台平の制作ひとすじに励み、父と同じく重要無形文化財技術保持者の認定を受け、親子二代に渡り人間国宝となった。
「男なら一生に一度は身に付けたい」と、日本の男たちがあこがれる仙台平の袴。川端康成は、ノーベル文学賞の授賞式に仙台平の袴を身につけて出席し、晴れの舞台に臨んだという。また、歌舞伎界や相撲界の著名人にも愛好者が多い。気品と美しさの中に強さが織り込まれた仙台平は、袴の最高峰ブランドとして愛され、守られている。