ほとんどが自家での一貫作業で行う
千葉家の藍染め
藍染めを行う工房では、藍建て(藍を染色できる状態にすること)する際に使う、藍の葉を発酵させた蒅(すくも)を徳島などの蒅を専門に作る藍師のもとから仕入れ、土中に埋めた藍瓶で藍建てをして染色しているのが一般的。そして、一度藍建てしたら、瓶を火で温めながら発酵を調整するため、年中染めを行うことができます。
しかし、「正藍冷染」を継承する千葉家では、蒅を仕入れることもなく、藍の種を撒き、育て、葉を摘み取り、蒅にして藍玉を作り、藍建てをする。その作業を一貫して行っているため、工程は一年を通して営まれ、染められる期間は人工的に熱を加えることなく藍が自然発酵できる気温に上昇する、6〜7月の間のたった1ヶ月半ほど。このわずかな期間のために、まさに藍とともに生きる一年を過ごしています。いずれの工程も天候や気温に大きく影響され、そして大変な手間がかかるもの。それでも藍から出でる、その年の美しい色を楽しみに、古くから伝わる純粋で素朴な技法を守り続けているのです。