染める、織る、纏う

生糸の精錬から始まる、仙台平。
その技術の会得には、数十年を要します。
一子相伝の技術が、
今に伝える素晴らしき織物の世界を。

一子相伝の被疑が創りだす最高品質の絹織物

仙台藩四代藩主・伊達綱村公が、江戸中期に御用織物師を召し抱え、藩御用の織物を織らせたことに始まると伝えられる仙台平。以降、代々藩主の手厚い庇護を受け、五代吉村公の時代には、金華山生糸を用いてさらに改良を加え、最高技術による織物袴地を織り出すこととなります。仙台平は、皇室、幕府及び他藩への贈り物として珍重され、位の高い武士を中心に愛用されました。
仙台平の特徴のひとつとしてあげられるのが、染色です。昔ながらの草木染めに独自の近代感覚を加え、色彩だけではなく、織物の質そのものも強くしています。特徴的である緯糸は、生糸を生のまま撚らずに精練しています。熱の処理加減が少しでも狂ってしまえば、最高の味が出せないだけに、最も苦心する部分といえるでしょう。
仙台平の製造工程は、生糸の精練から仕上げまで一貫生産しています。その技術は一子相伝の秘伝であり、製織には数十年の熟練を要するのです。

  • 1. 先代の甲田榮佑が開発した秘伝の染めが「セリシン定着法」。絹を傷めないないように、植物染料を使用している。黒を出すのが最も難しく、満足する色が出るまで何度も染めるのだという。

  • 2. 染め上がった糸。この後、染料を定着させるために天井につるされ、半月ほど陰干しをする。

  • 3. 鮮やかに染められた生糸。しなやかで美しい風合いは、一子相伝の秘伝の技の賜物といえる。

  • 4. 撚りのない生糸を濡らして、緯糸にする。これを強く打ちこむことが、仙台平の大きな特徴ともなっている。

  • 5. 濡れた緯糸を管に巻き取る。髪の毛よりも細い糸なので、細心の注意を要する。この管を杼(ひ)の中に入れて、反物を織る。

  • 6. 杼(ひ)を投げて緯糸を通し、筬(おさ)を強く打ちこみながら織る。縦に柔らかく、横に張りのある織物が出来上がる。

元禄時代に生まれた、高尚優美な「八ッ橋織」

女性的で、ふくよかな美しさを持つ綾織物、八ッ橋織。元禄時代、仙台藩四代藩主伊達綱村公の創意工夫から織り出され、伊達家江戸屋敷庭園の八橋の景から八ッ橋織の名称が付けられたと伝えられています。模様が七、五、三といった縁起の良い配列であることから「吉祥の文様」といわれ、慶事に用いられました。その伝統を受け継いでいるのは、合資会社仙台平のみで、丈夫で、美しい光沢をたたえた高尚優美な品は愛用者も多く、宮内庁への献上や御買上も数多くあります。

仙台平を、その手に…

  • 「仙台平」名刺入れ

    仙台平でできた、贅沢な名刺入。古典的で優雅な渋味を持つ紳士用と華やかで色使いも美しい女性用の2種類があります。お手頃な価格で柄のヴァリエーションも豊かなので、自分だけのお気に入りを探してみては、いかが?

  • 「八ッ橋織」 風呂敷

    丈夫で美しいつやが特徴的な八ッ橋織の風呂敷。近年、風呂敷はエコの観点からもその利用法に世界中が注目しています。上品な八ッ橋織を選択すれば、ワンランク上のおしゃれを演出できるはず。贈答などにも。

  • 「仙台平」袴

    歴代藩主がこよなく愛したのが、仙台平の袴。「男なら一生に一度は身に付けたい」と、日本の男たちがあこがれる存在であり、一流著名人に愛好者が多いことで知られています。