仙台箪笥が国の伝統的工芸品に仲間入り

2015/7/27 |
タグ:
仙台箪笥

2015年6月。とてもうれしいニュースが飛び込んできました。それは仙台箪笥が正式に経済産業大臣(国)指定の伝統的工芸品に指定されたということ。手とてとテの仙台箪笥の取材の中でも、仙台箪笥協同組合の皆さんが指定に向けて長年の間ご尽力、奔走されていたことを伺っていましたので、まるで我がことのように嬉しいお知らせでした。今回の指定は宮城県では宮城伝統こけし雄勝硯鳴子漆器に続いて4番目、東北では22番目、全国では222番目となる指定です。年来の悲願が実った先般、仙台箪笥の魅力を伝える拠点の「仙臺箪笥歴史工芸館」で祝賀会が開かれ、手とてとテスタッフもお招きいただきました。

江戸時代末期に仙台の地場産業として生まれた仙台箪笥は、「指物師」「塗師」「彫金師」三者の結晶といえるものです。祝賀会会場ではその職人による実演が行われていました。
11694841_855967924480719_2075259645065469357_n指物師の増野さん。東京駅丸の内駅舎の3Fドーム部分の窓枠やドアなども手掛けています。
11760328_855967907814054_2062916801988961285_n塗師の広谷さん。御年80歳、この道60年のベテランです。
11811299_855967987814046_1060701004117384891_n彫金師の八重樫さん。一枚の鉄を何度も叩き、美しい金具を仕上げていきます。

祝賀会には県や市の関係者はじめ、たくさんの方々がお祝いにかけつけていました。出席者に向けた挨拶の中で、仙台箪笥協同組合の代表理事である湯目研一郎さんは「仙台が世界に誇れる仙台箪笥を国内外に啓蒙し、ますます地域の皆さんに愛されるよう取り組んでいきたいです」と決意も新たに。手とてとテのインタビューにもご協力いただいた長谷部漆工の長谷部嘉勝さんは「皆さんのご協力、ご支援のおかげでようやく叶いました。指定は第一歩。これからが本当に大事です」と語ります。今後、国の伝統的工芸品の証である、いわゆる伝産マークにかかわる申請、仙台箪笥に携わる職人たちが伝統工芸士の称号を得るための認定試験への取り組みなどを行っていくのだそう。早くても来年になるようですが、仙台箪笥の職人から伝統工芸士が誕生するのが楽しみです。

11800623_855967894480722_4357226865885321190_n

日本はもとより海外でも評価が高い仙台箪笥。(アルフレッド・ヒッチコック監督の『めまい』の冒頭にも仙台箪笥が登場しているそうですよ!) 「海外にも通用する素晴らしいものが仙台にあるんだという事実、歴史を知っていてもらうだけでも素晴らしいこと。仙台箪笥を買い求めた人がいたら、『あの工芸買えたんだ!すごい』って思ってもらえるようになったら素敵でしょ。私は文化ってそういうことだと思っています」。これは以前、指物師の増野さんがお話してくださった言葉です。住環境の変化による売り上げの減少、後継者の育成の急務など課題もありますが、今回の指定を契機に仙台・宮城の工芸品がより注目され、産業が活性化していくことを心から願います。そして、私たちもその魅力をたくさんの方々に伝える一助ができればと思います。改めて、おめでとうございます!

下記は三位一体で生まれる仙台箪笥の映像です。職人の息遣いが間近に感じられるムービーをぜひご覧ください。