こけしいろいろこけしいろいろ

全部で11系統ある伝統こけしのうち、宮城県には、5つの系統が存在しています。
遠刈田、鳴子、弥治郎、作並、肘折。それぞれの特徴をご紹介しましょう。

  • キュッとしたまなざしと口もとの笑顔が可愛い遠刈田系

    遠刈田温泉を中心として生まれた系統。直胴に大きめの頭のシンプルな姿です。顔は上下のまぶたが描かれ、鼻は割れ鼻。胴体には、菊や梅、桜などをモチーフとした絵柄が施されることが多く、頭頂には赤い放射状の手絡(髪飾り)模様、さらに額から頬にかけて赤い花弁模様が描かれます。

    偉大な父の跡を継ぐ若き匠

    佐藤康広 平成22年に父・正廣氏が黄綬褒章を受賞したことをきっかけに、サラリーマンを辞め、父に師事する。
    〈仙台木地製作所〉

  • 古風な日本美人を思わせる鳴子のこけし

    鳴子温泉を中心として発達した系統で、首を回すとキュッキュと音が鳴るのが最大の特徴。優しい顔立ちで、肩と裾が張っています。少しくびれた胴体には、上下にろくろ線、その間に菊の模様が施されることが多く、頭頂には、御所人形に似た前髪とふた束の髪、赤い髪飾りが描かれます。

    愛と情熱でろくろに向かいこけしを焼く

    岡崎靖男 昭和29年生まれ。高校卒業後、父・仁治氏に師事して、兄弟子の指導を受けながらこけしづくりを始める。
    〈こけしの岡仁〉

  • カラフルな衣装を纏った開放的なお洒落娘の弥冶郎こけし

    白石市の弥治郎集落を中心として発達した系統。さまざまな色の輪が描かれたベレー帽のような頭、胴には太いろくろ線と、襟や裾の部分に手書き模様が施されています。くびれたウエストも特徴的です。伝統こけしの産地で最も暖かい場所ゆえか、開放的で明るい雰囲気を持っています。

    世界に羽ばたくこけしマダム

    新山真由美 結婚後、夫である吉紀氏に師事する。2012年には、吉紀氏とともにフランス・ルーブル美術館にてこけし制作の実演をし、大好評を得る。
    〈工房きぼこ〉電話:0224-25-0015

  • 時を重ねて柔和になった、いぶし銀の魅力を放つ作並系

    作並温泉を中心とする系統で、“子どもが握りやすい”ことを重視したため、胴が細いのが特徴。こけしが玩具から観賞用になった大正時代から、台座がつくように。胴の模様は、蟹のように見えることから「かに菊」と呼ばれます。元はキツい顔立ちでしたが、時代を重ねるうち柔和に。

    伝統を継ぐ工人界のサラブレッド

    平賀輝幸 中学卒業と同時に、祖父と父の元で修行を始め、工人に。お風呂こけしや支倉常長こけしなど、オリジナルこけしも多数制作。
    〈平賀こけし店〉

  • 強烈な個性美で見る者すべてをメロメロにする肘折系

    遠刈田系、鳴子系の亜流として山形県肘折温泉を中心に生まれた系統。油絵のような色彩と強い個性を持つ顔立ちは、伝統こけし全11系統の中でもかなり独特です。鮮やかな黄色に立ち菊が描かれた胴、黒々としたおかっぱ頭と大柄の髪飾りは、一度見たら忘れられない強烈な印象を残します。

    究極の美を創りだす稀代の名工

    佐藤昭一 昭和10年生まれ。名工といわれた祖父と父の後を継ぎ、3代目の肘折系工人として、こけしを中心に制作。平成12年黄綬褒章を受賞。
    〈こけし工房・さんぱく〉

こけしのつくりかた

  1. 1.原木を乾燥

    こけしの原木を、木が水分を多く含まない冬の時期に伐採。皮をむいて、6か月から1年ほど自然乾燥させます。

  2. 2.木取り

    こけしの寸法に切られた(玉切りした)原木を、円筒型に粗削りしてろくろにかけられる状態にします。

  3. 3.頭を作る

    ろくろで頭となる部分を削ります。「ウマ」という台に「カンナ」という刃物をのせ、テコの要領で削ります。その後バンカキにて仕上げ挽きをします。

  4. 4.体を作る

    木取りした材をろくろの丸爪に打ち込み、胴を削ります。頭も胴もサンドペーパー(昔はトクサと磨きワラ)などを用いて磨き、仕上げます。

  5. 5.絵付け

    顔と胴を描きます。墨、赤、緑、系統によっては紫や黄色なども使い、彩色を施します。胴体の底に名も入れます。

  6. 6.蝋をひく

    頭と胴をそれぞれろくろにたて、蝋をひきます。ムラが出ないよう全体に蝋をしっかりと溶かし付け、布で磨いてつやを出します。

  7. 7.頭を胴に差し込む

    胴模様と顔がぴったり合うよう注意しながら、頭を胴にしっかりと差し込みます。

  8. 8.完成!

    できあがり~
    ※系統や工人によって作り方や道具、構造などは違いがあります。