手しごと工房めぐり ご参加ありがとうございました。

2014/10/20 |
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レポート

手とてとテでは10月12日(日)に、くりはらツーリズムネットワークとの共同企画による「宮城県北 手しごと工房めぐりとハレの食・餅料理」を実施しました。
栗原市の織り・染め・陶芸の3つの工房をめぐる“手しごとバスツアー”。
手とてとテにとって初の試みとなった今回のツアーの様子をご報告します。

当日は台風接近中にもかかわらずお天気に恵まれ、さわやかな秋晴れのなか参加者の皆さんとともにバスで仙台駅を出発しました。
栗原に到着すると、くりはらツーリズムネットワークの大場さんと菅原さんがお出迎え。
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若柳地織のはんてんに、首には正藍冷染の手ぬぐいという、当日めぐる工房の工芸品で身をかためた大場さん。さすがですね。
現地では大場さんがそれぞれの工房や栗原の食&文化について案内・解説してくださいました。

最初に訪れたのは若柳地織の唯一の織元・「千葉孝機業場(ちばこうきぎょうじょう)」です。
明治末期の創業時から100年近く現役で動いている豊田式鉄製小幅動力織機(Y式)の心地よい機械音を耳にしながら工房内へ。
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ほぼ建てた当時のままという工房は、そこだけ時が止まったかのようなたたずまい。
貴重な織機を間近で眺めながら、こちらの3代目・千葉孝順(たかより)さんから製作工程や、仕事を続ける原動力となったエピソードなど、お聞かせいただきました。
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工房とショップを見学後、千葉さんからうれしいプレゼントが。若柳地織の小さな端切れをお土産にいただきました。

昼食は、カフェとして営業準備中の「古民家 岩松」で、今回特別に餅料理を用意してもらいました。到着すると、まずは地元の“名人”の指導のもと皆で餅つきを体験。
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お餅は、米どころ栗原の代表的な地元食で、50〜70以上の種類があるといわれているそう。
この日はつきたてホヤホヤのお餅を使った、あんこ餅、栗原ならではの沼エビのえび餅、お雑煮の3種類をいただきました。

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お餅はもちろん、一緒に出していただいたお漬物やおひたしも、とってもおいしかったです!

その後、藍染で知られる文字地区へ。

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ピンクの可憐な花が咲く藍の畑などを見学して、現存する日本最古の染色技法・「正藍冷染(しょうあいひやしぞめ)」を継承している千葉まつ江さんの工房を訪問。
藍染の時期(毎年6〜7月ごろ)は終わってしまったので、濱田淑子先生(東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館参与)が聞き手となり、まつ江さんを囲んでお話しをお伺いしました。
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まつ江さんは「(正藍冷染は)国からも認められた大事なもんだから、たとえお金になんねくても、やめないで続けていけ」という先々代あやのさん(人間国宝)の言いつけを守り続けてきたそうです。伝統を受け継ぐべく姪の京子さんが修行中というから、今後も楽しみですね。

そしてツアーの最後には、花山湖を眼下にのぞむ「座主窯」(ざすがま)におじゃましました。
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こちらではご主人の工藤修二さんが、穴窯(あながま)を使ってシンプルで使いやすい焼締めの器をつくっていらっしゃいます。
まずは工藤さんの案内で穴窯を見学。
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「窯の中に入ってみてもいいですよ」とのことで、恐る恐る中に入ってみるとこんな感じでした。

花山の美しい風景をお庭で眺めながら奥様が用意してくださったお茶をいただいたり、ギャラリーで器を手に取ったりしながら、ほっと一息。
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それから一路仙台へと無事に戻ってきました。

栗原で大切に育まれてきた手しごとの工房を訪ねた今回のバスツアー。
つくり手たちに会ってその人柄に触れることで、工芸品をもっと身近なものと感じて、さらに興味を持っていただけるきっかけとなったらうれしいです。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

共同企画でお世話になった、くりはらツーリズムネットワークでは、栗原市の様々な工房や会場でつくったり食べたり、体験・交流ができる秋のイベント『くりはら博覧会 らいん』を10月20日(月)〜11月19日(水)まで実施中。
そして、その『らいん』にも名を連ねる「座主窯」工藤さんの個展『工藤修二 作陶展』が、南町通りのギャラリー・くろすろーどで10月30日(木)〜11月4日(火)まで開催されます。
ぜひチェックしてみてください!