どの工程も気を抜かず、
生きているかのような人形を
土人形の作り方は、陶器とよく似ています。工程は大きく分けて3つ。形成、焼き、彩色です。もちろん、そのすべての工程が緻密に計算され、多くの手間ひまがかかっているのは言うまでもありません。
芳賀つつみ人形製造所では、現在、現当主の芳賀さんがすべての工程をひとりで担っています。どの段階でも手を抜かず、きっちり仕上げていくのが芳賀さんのスタイル。堤人形は、約半月から1か月半ほどかけて仕上げられます。粘土を流して形を作る「鋳込み」の手法を使えば、時間も手間も省けますが、あえてすべての工程を手作業で行うことで、繊細ながらも力強く、あたたかみのある人形を作り上げているのです。
強さんのこだわりは道具にも及びます。形成に使用する木べらは、つげやススダケなどの堅い木竹材を用いて作ったもの。作業台や窯も、作業効率のいい形を研究し、自ら作りました。
心を込めた丁寧な作業と、妥協を許さない姿勢。その信念が堤人形に命を吹き込んでいるのです。