堤焼とは

堤焼とは

仙台の土と釉薬を活かして作り続けられる
この地に根ざした素朴であたたかな陶器

かつて堤町(仙台市青葉区)一帯に窯場があったことから、その名がついた堤焼。茶道に通じた伊達藩主の器などを作る御用窯として江戸時代にはじまり、後に甕や鉢、皿をはじめとする庶民の生活雑器を生産するようになって300数十年の歴史を持つ。粗く優れた地元の土を活かした素朴さと、黒と白の釉薬を豪快に流し掛けた“なまこ釉”が特徴で、昭和初期に堤町を訪れた民藝の父・柳宗悦にも東北を代表する民窯として注目され、水甕などが高く評価された。最盛期には30軒を数えたと言うが、今では「堤焼乾馬窯」が唯一の窯元となり、丸田沢(仙台市泉区)の緑豊かな環境に場所を移して伝統と技を守り続けている。
「堤焼乾馬窯」は、地元の名工として知られた初代が、仙台に招かれた江戸の陶工・三浦乾也(6代・尾形乾山)から“乾馬”の陶号を授かったのがはじまり。この時書き写すことを許された秘伝書『乾山秘書』をもとにしながら、仙台の土と釉薬を使ってこの地の風土に根ざした焼きものが生み出された。それから現在の四代・乾馬にいたっても一貫して、地元でとれる土と釉薬にこだわった作陶が続けられている。
すべてが手作業であることと、焼きの具合によっても釉薬の表情がそれぞれ異なるため、どれもが一点もののような魅力を持つ堤焼。
伝統を受け継ぐ手業によって仙台の土から形づくられたあたたかな風合いを確かめながら、一つひとつを手に取って、自分のお気に入りを見つけてみたくなる。

【取材協力】

堤焼乾馬窯(けんばがま)

住所:
宮城県仙台市泉区上谷刈字赤坂8−4
電話:
022−372−3639
ホームページ:
http://tsutsumiyaki.net